ノウルシ 準絶滅危惧
トウダイグサ科


渡良瀬遊水地の春を彩る春植物の一つ。
遠目で見ると黄色い花が菜の花のよう。
でも黄色いのはすべて花びらというわけではなく
花の下の葉も黄色くなる。
花を目立たせる仕掛けだろう。
ハンゲショウが花期に花の下の葉が白くなるが
同じことか。

春植物というのは
春に発芽し生長し
花を咲かせ実をつけ
そして春のうちに枯れてしまう
6月にすべて枯れてしまう
それはトネハナヤスリもエキサイゼリも同じ。
6月は
ヨシ・オギがうっそうと茂る季節で
地表は暗くなる
その前にすべてを終えてしまう植物
生きるための戦略

これらの背の低い植物たちにとってヨシ焼きはどのような意味があるかというと
簡単なことで
芽を出そうとしても上に落ち葉がうずたかく積もっていれば
太陽の光を浴びるまでに相当頑張って背を伸ばさなければならない
それができるか?
ということにつきる

私はヨシ焼きが行われなかった昨年の6月
影響を調べた
ヨシを刈ってあった場所とそうでない場所で
植生の違いを比較した

実に明瞭な結果だった
一目見てさえ明らかだった
非常事態だと感じられた

今年もヨシ焼きが中止され
このまま行けば
貴重な植生は壊滅的打撃を被るだろう

昔々遊水地でなかった頃は
これほどヨシ・オギは茂っていなかった
それとなんといっても
人々が暮らしていて
枯れたヨシ・オギを燃料などとして活用していたから
すっきりと刈り取られていたのだった

ここの小さな植物たちはずっとこの環境に
つまり人間と暮らしてきたのだった

ヨシ焼きは
昔からの環境をはからずも保全してきたと言える
奇跡的だと思わないか

このことは植物だけに当てはまることではなく
生態系全体にかかわるはずで
昨年 鳥やさんが
チュウヒが営巣したからヨシ焼きを一部やめましょう
と提言したことは
あまりにも危険で
遊水地の行く末を案じてしまう