ワタラセツリフネソウ花の4型


1(初めに)ワタラセツリフネソウについて

ワタラセツリフネソウは、2005年9/21の日本植物学会において新種として発表されました。
発表者は愛知教育大渡邊幹男助教授、芹沢俊介教授、大和田真澄(当サイト作者)で、渡邊助教授(現教授)が口頭発表しました。

記載論文は、2009年12月、以下の通り発表されました。

渡邊幹男・芹沢俊介 2009 「ツリフネソウ属の1新種ワタラセツリフネソウ」 『シデコブシ第1巻 第2号』p61-70 愛知みどりの会(愛知教育大学自然科学系生物領域内)

学名:
Impatiens ohwadae M.Watanabe et Seriz.

本種の基準産地は渡良瀬遊水地です。


最も近いと考えられるツリフネソウとは、形態的にいくつかの違いが認められます。
さらに遺伝子レベルの研究で違いがはっきり出たために、独立種として発表されました。

このように花の美しい植物が関東の平野部から新種として記載されることは、ほとんどあり得ないほどまれなことだと思われます。
今まで発見されなかったというわけではなく、ツリフネソウとの違いが見落とされていたのです。

2ワタラセツリフネソウの花の4型

興味深いことに、ワタラセツリフネソウには花の4型があります。
花の内部に、黄色い部分があるものとないもの、斑点あるものとないもの、その組み合わせで4型があるのです。

同一株に生じる花はすべて同じタイプなので、おそらく遺伝子で決まっていると考えられます。渡良瀬遊水地ではその4型がすべて見られますが、同一群落内に4種類が共存していることもあります。
このことはツリフネソウでは観察できないことです。


黄色・斑点型

黄色・無斑型

白・斑点型

白・無斑型


黄・斑型
 

黄・斑型
 

白・斑型
 

白・斑型
 

黄・無斑型
 

黄・無斑型
 

白・無斑型
 

白・無斑型